離婚・財産分与について
婚姻期間中のなかで夫婦が共に築きあげた財産がある場合、離婚するときにそれらの財産を夫婦で分割する取り決めとすることがあります。これを財産分与といいます。
財産分与は、離婚時にしなければならないわけではなく離婚後2年以内であれば財産分与の請求をすることができます。財産を把握している状況で財産分与をした方が望ましいため、離婚時にすることが一般的です。
不動産の財産分与の注意点
財産分与をする場合、不動産名義を夫婦どちらかの単独に変更することがあります。この財産分与で名義を変更するときにも、次の税金について注意が必要です。
①財産分与で名義を取得する人⇒不動産取得税
②財産分与で名義を譲渡する人⇒不動産譲渡所得税
上記①②についてそれぞれ解説します。
①不動産取得税について
不動産取得税は都道府県が課税する地方税になります。一般的に不動産の売買や贈与、新築、増築などの場合に取得した人に課税されます。確定申告などの申告書の提出は不要です。不動産の名義変更を法務局に申請すると、自動的に法務局から県税事務所などに情報が共有されます。そして、名義を取得した人に対して名義変更後6カ月~1年程で自宅に納税通知書が郵送されてきます。それを使用して金融機関などから納付します。
財産分与では、『清算目的』で実施したかどうかが重要になります。清算目的で財産分与を実施した場合、不動産の名義を取得した人に対する不動産取得税は非課税の扱いになります。一方、『贈与税や相続税を免れるための離婚で財産分与が行われたと認められた場合』には、離婚によって分与された財産に不動産取得税及び贈与税が課税されます。さらに、慰謝料の意味合いを含めて財産分与が行われた場合にも、不動産取得税の課税対象となります。つまり、『清算目的』であるかどうかで取得した方の税金負担が大きくかわります。
なお、県税事務所などは『清算目的かどうか』ということは把握していません。そのため、不動産名義を取得した人に対し事務的に不動産取得税の納税通知書が送られてくることがあります。もし『清算目的』での財産分与の場合には、県税事務所等に連絡をしてその旨をきちんと説明することが大切です。
②不動産譲渡所得税について
不動産譲渡所得税は、不動産を譲渡し利益がでた部分に課税される税金です。例えば、不動産を売却したときに購入時の価格や経費などの合計が売値よりも少なければ利益分に課税され、逆に多ければ非課税になります。
財産分与の注意点は、不動産の名義を譲渡した側に不動産譲渡所得税が課税されることです。例えば、夫が妻に財産分与で自己の名義のものを譲渡したさいに、その譲渡した夫に対し不動産譲渡所得税が課税されます。ただ、居住用不動産を財産分与で名義変更する場合、居住用財産の譲渡所得税の特例が適用できれば税負担が軽減されます。
( 退職金 ・ 年金分割 )
退職金は、給与の後払い的な性質と捉え、退職金も財産分与の対象になる場合があります。しかし、退職までに何十年もあるというケースにおいては、一律に退職金を財産分与の対象としてしまうのは不都合です。よって、退職金を財産分与の対象にするには、退職金の支給が確実であると見込まれることが必要になります。また、その全額が対象ではなく婚姻期間に応じた部分のみが対象になると考えられています。
年金分割は、離婚後に一方の配偶者の年金保険料の納付実績の一部を分割し、それを他方の配偶者が受け取れるという制度です。この制度は『厚生年金・共済年金』の部分に限り『婚姻期間中の保険料納付実績』を分割できる制度になります。さらに、将来受け取る予定の年金金額の2分の1を譲り受ける制度ではなく、保険料の納付実績の分割を受けるという制度ですので、注意が必要です。この年金分割制度を利用するメリットがあるのは、婚姻期間中に相手方が厚生年金・共済年金を自分より多く支払っていた場合のみとなります。
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