不動産と税金
我々司法書士の業務は不動産の登記や会社の登記を主に扱っています。登記というのは、法務局(行政機関)が管理している名簿みたいなものです。例えば、Aが所有している不動産をBが購入した場合、Aの名簿(登記)をBに変更することになります。
この不動産の登記相談を受けるときに必ず気にする点があります。それは、「税金」です。次のような税金の種類に注意します。
①贈与税
②不動産取得税
③登録免許税
④相続税
⑤不動産譲渡所得税
上記のうちに特に注意しているのが、①贈与税と②不動産取得税、④相続税になります。一般的なことは国税庁や法務局、県税事務所などで教えてくれます。HPなどでもある程度の概要は把握できます。しかし、具体的な数字までは難しいためその場合は税理士の先生に相談するようにしています。
①贈与税について
不動産に限りませんが、財産を第三者に無償で譲渡した場合、贈与税に注意する必要があります。不動産に関する相談でよくあるのが、生前に親から子に不動産の名義や現金を移動させておきたい、という相談です。贈与税は相続税に比べ税率が高く不動産などは高額な税負担になるおそれがあります。
贈与税の税率等は国税庁のHPで確認できます。一般的に不動産の価格は、土地が路線価、建物が固定資産税評価額になります。その不動産価格に対し税率を乗じ、控除額を適用すればおおよその税額が算定できます(暦年贈与110万円は不動産価格から先に控除)。特例制度については、まずは税負担のリスクを知ったうえで検討することが大切です。
なお、特例制度の中でよく利用するのが、夫婦間贈与の特例と相続時精算課税の特例です。
相続税が基礎控除の範囲内の場合には、相続税精算課税の特例を検討することがあります。また、夫婦間贈与の特例は婚姻歴が20年以上の場合に制度利用を検討します。
贈与税は税金負担が大きいため、様々なリスクと特例の検討が必要です。
②不動産取得税について
不動産取得税は、以前のブログ『財産分与について』で少しお伝えしました。字の如く不動産を取得した場合に都道府県から課税される税金です。主に不動産を売買で購入した場合や新築マイホームを取得した場合などが典型例です。
詳細は省略しますが、新築居住用であれば土地・建物の取得について非課税になることが多いです。
③登録免許税について
不動産の名義を変更したり、金融機関の融資を受けて不動産に担保設定する場合、登録免許税が課税されます。例:売買・贈与(税率2%/例外:土地売買1.5%)など
④相続税について
相続税は『基礎控除』を知っておくと税負担の目安になります。基礎控除を超えると相続税の「申告義務」が発生するので、税理士の先生にお願いすることになります。ただ、基礎控除を超えたから直ちに税金がかかるわけではありません。これは、配偶者控除や小規模宅地の特例など相続税の税負担を軽減する特例制度が設けられているため、それらを利用することにより「申告義務はあるが納税はゼロ」という結論にもなります。
⇒『基礎控除』相続税は一定のボーダーラインを超えなければ相続税がかからない計算方法になっています。そのボーダーラインのことを基礎控除といいます。
※基礎控除=3000万円+法定相続人の数×600万円
※法定相続人の数え方は民法と異なる部分がありますので、相続放棄や養子縁組がある場合には注意してください。
⑤不動産譲渡所得税について
所有している不動産を売却したときに利益が出ると、譲渡所得として取り扱われます。ただし、税務上は譲渡所得税という税金は存在せず、あくまでも所得税と住民税が発生することになります。
譲渡所得は、「収入金額-取得費-譲渡費用」という式で計算されます。つまり、不動産を購入した時の売買代金や仲介手数料、印紙税、解体費用を経費として考え、不動産を売却した時の売買代金からそれら経費を控除してでた利益に課税されることになります。
不動産を売却をするときには、この譲渡所得税も念頭にいれて最終手取り額を計算しておく必要があります。
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